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☆ 「モズの穴」 ☆大相撲 -十両小柳、昨日と今日

もずの穴(25) 元川 芹香

山猿に尋ねる間もなく、ぼくの頬にぽつり、それは大きな雨粒が一粒・・・、と思っていたらバシャバシャバシャと目も開けていられないほどの豪雨になった。

「ほら、言ったこっちゃない。大丈夫か?」 「平気だよ。こういう雨、外国じゃスコールっていうんだよ」 すると、今度はゴロゴロ空が唸り始めた。

「スコップかなんか知らねーけど、ぼやぼやしてたら雷にうたれるぞ。どこかに逃げよう」 山猿は辺りを見回す。「あの木の下は!」 ボクは村人が龍と間違えたあの大木を指した。

「バカ!雷は一番背が高いところに落ちるんだ。あんなとこに逃げたら間違いなく丸焦げ、黒チンになるぞ。ええっい、もう遅い。とにかく伏せて身を低くしよう」

山猿はボクの背中を押すと、二人でうつ伏せになった。「あっ、青い龍だ!」 その時、青く猛々しい光を放って、天空からあの大木に一匹の青い龍が降りてきた。「龍だ!」 ボクは無我夢中で近づく。

「白チン、どこ行くんだ!それは龍なんかじゃない、イナズマだ!」 「えっ」 気がついたら、ぼくは水の中にいた。そう、ほとりから二メートル以上離れた池の中。

「おい、早く上がってこい!」 「うん。でも足が重くて次の一歩が出ないんだ」 「オマエもそうか…」 雨の音がひどくて山猿の声が途切れ途切れに聞こえる。

「えっ何?よく聞こえない」 「余計なこと喋るな!いいか、出来るだけじっとしてろ。今俺が縄になる蔓を捜してくるから、何か楽しいことでも考えていろ」

さっきはお腰のところだった水かさが、もうお腹まで来ている。雨もより強くなってきた。ボクは死ぬのかな。これはきっと天罰だ。

「そうだ。フジ子さんのお守りがあった」 ボクはリュックからお守りを力いっぱい引きちぎった。あっ、鈴が流されていく。

赤いゴツゴツした袋の中には、黒飴が二つと何故だかジージとフジ子さんの写真が入っている。
<続く> 

小柳2日目は、北太樹に勝ち1勝1敗。

昨日行われた大相撲一月場所、2日目十両小柳 vs 北太樹は、寄り切りで小柳(1勝1敗)。負けた北太樹は(0勝2敗)となりました。

3日目小柳の対戦相手は、突き・押しを得意とする5枚目阿武咲*(1勝1敗)です。
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*阿武咲(おうのしょう)は、青森県出身 阿武松部屋所属で20歳。初土俵が平成25年1月場所、最高位は十両4枚目で過去受賞歴はありません。

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