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☆「モズの穴」

もずの穴(3) 元川 芹香

リコリスの日本名は彼岸花。秋のお彼岸の頃に咲くからそう名前がついた。仏教ではマンジュシャゲという、天上の花という意味だ。

この球根にはものすごい毒がある。ここからは怪談話にまなるが、昔は人が死ぬと焼かずにそのまま桶の中にいれて土の中に埋めた。

ところが、埋めたはずの死体がひとつ、ふたつと次々に掘り返されている。どうしてだろう?。墓荒らしではないらしい。

『う~ん、盗られたって意味では近いけれど…。モグラやキツネなどたちが、死体を掘り出してその桶をねぐらに使っていたんだそうよ』

「毒を持つ」 彼岸花を、お墓の回りや畔道に植えて防いだが先人の知恵とだった言った、母のつぶやきが、またボクの耳をかすめた。

その毒のある花を墓や畔に植えたものだから、今は 「幽霊花」 なんて嫌われるようにもなってしまったのだろう。花には罪はないはずだが、危ない花をどうしてこの庭に植えているのだろうか?。

『それはね…、リコリスの花がとっても綺麗だからよ』 と、じっと見つめ笑っていた。また、母を思い出した。 <続く>

タグ:もずの穴
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