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☆エッセー 「桜の女(ひと)」

桜の女(ひと) (二) 作 芹香ママ

貴女の家の庭の垂れ梅が毎年咲くのを楽しみにしていましたが、「今年は、咲くのを見れるかしら」と言ったと聞き、その心情を思って胸が痛みました。

その梅も見て、四月には大好きな東別院の一本の桜の木に逢いに行って来たと嬉しそうに話していました。梅雨曇り空の下貴女の好きな紫陽花が咲いている季に、逝ってしまいましたね。

紫陽花に面影残し去りし友  (芹香ママ)

昨日、梅雨明けのニュースを聞きました。白と薄桃色の立葵の咲く小川沿いの道を行くと、二つめ橋を渡れば貴女の家。

玄関のチャイムを押すと、何時もの様に 「どうぞ!」 「待っていたわよ!」 と明るく弾んだ声で迎えてくれた貴女。信じられないけど貴女はもう居ない。

さっき通った小さな橋へ戻って、スーパーに向かって自転車を走らせていました。夏の空は青くまぶしく、白い雲が浮かんでいます。 「貴女が生きたかった分も、大切に生きるからね」と…。

捩じり花 つたいて友は 宙(そら)の涯  (芹香ママ) <終わり>
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次回も芹香ママ作、エッセー 「春の虹」を2回に分けて掲載します。

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