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☆エッセー 「彼岸花」

彼岸花 (二) 作 芹香ママ

「曼珠沙華」は、法華経などの仏典にあり、「天上の花」 という意味も持ち白くやわらかな花だそうで、彼岸花とはまったく似つかないのも不思議である。

韓国では、花と葉が一緒に出ることがないことから 「葉は花を思い、花は葉を思う」 という意味で、彼岸花を「相思花」呼ぶことが多いと言うから、その方がずっと良いのにと思った。

また、別の名で 「草夾竹桃」 「花魁花」 の別名がある。本来の花より、華やかさでは彼岸花の方が似合う名前だと思ったが、遊郭の女郎の赤い長襦袢のしどけない姿が浮かびダメ。

ならば 「お七花」 はどう。寺小姓の吉三に恋いこがれて、紅蓮の炎の中に若い命を散らした美しい町娘お七。お七花こそ、あの花のイメージだと一人勝手な妄想にふけったのである。

昨年のA絵画展の受賞を機に絵筆を置いていたが、ふとアルシェの白い画用紙いっぱいモノトーンのグラデーションを背景に、赤く燃え立つリコリスをダイナミックに描きたくなった。

秋のお彼岸も近い。その頃には、農家のおばぁさん達が自宅の庭で育てた秋の花と一緒に 「彼岸花」 を朝市に並べてくれるだろう、楽しみが出来た。 <終わり>
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次週は、芹香ママのエッセー集から 「桜の女」 を掲載します。


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