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☆猫屋敷

猫屋敷(4) 作 元川 芹香

そんなおバカな 「きん子」 でも年頃になると、あっちこっちから雄猫が言い寄ってくる。どこかの先生のお作に出てくる、お琴のお師匠さんとこの 「三毛子」 のようだ。

三毛子はまれにみる美貌である。やっぱり動物もルックス重視らしいが、当のきん子にはあまり興味が無い。

毎日のようにプロポーズに来てはフラれ、フラれてはまた来る。いつしかこの屋敷に居着くようになったのが、2匹目の猫。イケメン 「ゴン太」 だ。

本人いや、ゴン太は、さながら 「我輩」 の気分よろしく通いつめたが、三毛子のようにはなかなか理解してもらえない。

彼の猛烈アタックに、嫌気がさしたのだろう 「きん子」 はとうとう家出を敢行した。リカは家の前に 『この猫、探しています』 の張り紙をし、そこら中を探し回ったがとうとう見つからなかった。

雨がそぼ降るある日、両目が目やにでふさがり、薄汚れた白い猫が玄関の前に 「にゃあ、にゃあ」 現れた。ずぶ濡れでみすぼらしい。

「何この汚い猫!」 ママは案の定、追い払おうと敬遠したが、慈悲深いリカの必死の説得によって、この猫も目の治療にさいぜん動物病院へ。

病院の先生いわく 「この猫の目は珍しく右目が金色で左目が銀色だ。幸運を呼ぶっていわれてるんだよ!」 と教えてくれた。何でもよい事はするものである。

「ついに我が家にも幸運が!」 とリカは喜んで3匹目に 「金目銀目」 と名づけた。その金目銀目め、目がすっかり綺麗に治ったと思ったら、恩知らずにも出ていってしまった。

ちょうど一週間目だった。幸運どころか、治療代出費で終わった。ヌカ喜びというのはこの事である。 <つづく>




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