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☆マリーちゃんのしっぽ

童 話 『マリーちゃんのしっぽ』 (1) 作 元川 芹 香

「あっ、イグアナだ!」 庭の真ん中で、水遊びしていたなっちゃんが叫んだ。「ハッハッハ。それはイグアナじゃないよ。きっとカナヘビかな」

と、近くでバラの手入れをしていた、おじいさん。「ヘビじゃないよ!だって、足がちゃんとあったもん」

「しっぽがヘビみたいに長かっただろ。はじめて見た人が 『ヘビかな?』 って。それがひっくりかえって 『カナヘビ』 チョロチョロと動くから、チョロとも言うよ」

おじいさんは、なっちゃんのために、カナヘビをさがし始めた。「ふーん!カナヘビにチョロって、名前が二つもあるの?」

「そうさ。それは夏子になっちゃん、二つあるのと一緒だよ。ほら、いたぞ!」 おじいさんは、両手をふくらませて、そっとカナヘビをつつみこんだ。

「ねぇ見せて、見せて。うわぁかわいいね。なのにカナヘビなんてかわいそう。今日からあなたの名前は、マリーちゃん」

おじいさんの指の間から首を出したカナヘビは、つるっと逃げ出した。「じーじ、逃げちゃったじゃない。もっとお話したかったのに」

怒ったなっちゃんは、おじいさんの服をひっぱった。「お腹がすいて、家にでも帰ったんだろうよ」 「そっか!バイバイマリーちゃん、またあそぼうね」

「あぶない、あぶない。おじいさんなんかにつかまるとは。あの子が僕のことを、イグアナなんていうから、おかしすぎて動けなかったんだ」

けど、マリーってメスじゃないか?カナヘビが草かげで休んでいると、なっちゃんとおじいさんは、家の中へ入っていった。 <つづく>
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「縺れた綾糸」は23日で完結しました。今日から1月2日まで、童話『 マリーちゃんのしっぽ 』 を4回連載します。



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