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☆マリーちゃんのしっぽ

童 話 『マリーちゃんのしっぽ』 (2) 作 元川 芹 香

「ふう~やっと、いなくなったぞ。さあ、早くバラさんの所に行こう!」 チョロチョロとバラの鉢にとびうつり、あっという間に小さなつぼみまでたどりついた。

「こんにちは!バラさん、ごきげんいかがですか?」 「あらカナヘビさん、今日は、ずい分と遅いのね。もうあちこちがかゆくて、かゆくて。早くいつものようにお願いね」

カナヘビは、くきをかけおり葉っぱについたアブラムシをパクパク食べた。アブラムシでふくれたお腹を引きずって、またつぼみまでかけ上る。

「ありがとう!やっとスッキリしたわ」バラは、葉っぱを合わせおじぎした。「いえいえ!こちらこそ、ごちそうさまでした」

「なぜ今年は、お顔を見せてくれるのが遅いのですか?」

「さぁ…なぜかしら?私もこの庭で長いこと咲かせているけど、春を過ぎたのは初めてね。だけど、夏の庭ってきっとステキでしょう?ちょっとワクワクするわ」

「夏の庭?日差しが辛いだけで、僕には何にも変わりはしないけど。でも、バラさんと一緒ならば楽しくなりそうです」

なっちゃんとおじいさんは、夕方の庭に水をまく。 「じーじ、そのバラばかり見ているの?どうして」

「春か秋に花が咲くはずなのに、このバラは、今頃になってやっとつぼみをつけたんだ。枝も細くて弱々しいしけれど、きれいに咲かせてあげたいと思ってな」

もうおじいさんの話など、なっちゃんは聞いていない。「マリーちゃん、なっちゃんですよ。さぁ出てきなさい!あっカエルさんだ。まって~」

「ハッハッハ、なっちゃんは 『花より、は虫類』 だね。 <つづく>



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