☆ゆきむら殺人事件
ゆきむら殺人事件 第三章 坂口との出会い(2) 作 元川 芹香
山崎は、普段から開けづらい扉を足でドンと蹴り、手慣れたように開けた。この裏口の扉を要領よく開けられるのは一之瀬店でも何人もいない。
裏口の扉を開けるとすぐに、バックヤードと呼ばれる、様々な備品類が所狭しとばかり置かれた倉庫行き着く。そこからは、キッチンの入口と控え室にもつながっていて、その両方に施錠する。
山崎の手にしている鍵の束には、防犯登録解除カードと裏口、キッチン、控え室、店長室の四室のキーが一連にまとめてある。トップ入りの時は前日に、担当者からこの束を受け継ぐ。
この開錠作業は、通常キッチンの山崎か富田または店長が行なっている。鍵束のから控え室の鍵を探し開けようとしたが、施錠されていなかった。
「そっか、店長がいるものね」 いつもは、控え室の鍵を開けてすぐに防犯解除のカードを差し込むのだが、設定されていないので解除の必要もなく、そのまま、控え室を抜けて店に入った。
店内はおおかたの照明は消されていたが、ただ一か所、パンドリーから見えた店長室だけ、ドアの小窓から明かりが漏れている。
「あの店長が店に泊まったのは、これが初めてじゃないかな?」 山崎は、独り言を言いながら警備員の坂口と店長室に向かった。
「店長、おはようございます」山崎がノックするが返事はない。「寝込んでいて、聞こえないのかなぁ」 首をかしげながらドアを開けようとノブを回したが鍵が掛っていた。
「店長!いま鍵、開けますからね」 不審に思いながらも、山崎は鍵の束からジャラジャラ店長室の鍵を探す。ドアを開けると、机にうつ伏せになった店長がそこにいた。 <つづく>
山崎は、普段から開けづらい扉を足でドンと蹴り、手慣れたように開けた。この裏口の扉を要領よく開けられるのは一之瀬店でも何人もいない。
裏口の扉を開けるとすぐに、バックヤードと呼ばれる、様々な備品類が所狭しとばかり置かれた倉庫行き着く。そこからは、キッチンの入口と控え室にもつながっていて、その両方に施錠する。
山崎の手にしている鍵の束には、防犯登録解除カードと裏口、キッチン、控え室、店長室の四室のキーが一連にまとめてある。トップ入りの時は前日に、担当者からこの束を受け継ぐ。
この開錠作業は、通常キッチンの山崎か富田または店長が行なっている。鍵束のから控え室の鍵を探し開けようとしたが、施錠されていなかった。
「そっか、店長がいるものね」 いつもは、控え室の鍵を開けてすぐに防犯解除のカードを差し込むのだが、設定されていないので解除の必要もなく、そのまま、控え室を抜けて店に入った。
店内はおおかたの照明は消されていたが、ただ一か所、パンドリーから見えた店長室だけ、ドアの小窓から明かりが漏れている。
「あの店長が店に泊まったのは、これが初めてじゃないかな?」 山崎は、独り言を言いながら警備員の坂口と店長室に向かった。
「店長、おはようございます」山崎がノックするが返事はない。「寝込んでいて、聞こえないのかなぁ」 首をかしげながらドアを開けようとノブを回したが鍵が掛っていた。
「店長!いま鍵、開けますからね」 不審に思いながらも、山崎は鍵の束からジャラジャラ店長室の鍵を探す。ドアを開けると、机にうつ伏せになった店長がそこにいた。 <つづく>
タグ:ゆきむら殺人事件
コメント 0