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☆エッセー 「春の虹」

春の虹 (一) 芹香ママ

五十六年振りに初恋の人に逢った。私が彼と初めて逢ったのは、昭和二十五年で高校二年になる前の春休みだった。

幼馴染で同い年の従兄が、友人の高校当時の同級生二人と関西の商船学校に進んだ彼をともなって私の家に遊びに来るという。私も友人三人を呼んでいた。

当時はまだ、男子校と女子校が分かれていた時代で学生同士の交際は多くはなかった。その頃としては、私の両親は一般的な世間の親達より考え方が進んでいたのか、自由な家風があった。

春や冬休みには二階の客間を占領して、楽しい時間を過ごしたものだ。制帽に白いカバーの、海軍士官に似た商船学校の制服姿の彼は、地元の学生に比べて垢抜けて凛々しかった。

そんな彼に私は、ひと目で魅せられてしまった。=初恋は麻疹の如し=という格言があるが、二度と味わえぬその想いは忘れがたく、生涯心に残るのだろう。

彼が近い時期ある用でこの地に来る、その時に逢いたいと人を介して突然連絡が入った。庭には水仙やクロッカスの花が咲き、春の気配が感じられた頃だった。

まさに青天の霹靂とはこのこと、遠い昔の記憶がよみがえってきた。<次へ>
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