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☆いもうと

いもうと (4) 作  元川 芹香

適齢期も過ぎかけの30歳の頃だったろうか、交際していた美容師と結婚の承諾を得ようと二人で伯父の許に行く。家を継ぐ条件なら、美容室を出店させてあげようという。

気骨ある彼は、「店は自力で」 「自分は長男」 という二つの理由から断ることになる。その時以来、伯父はふたりを別れさせようとあらゆる手段をとり始めた。

その手口に嫌気がさした彼は、家を出て彼の家に同居していた妹に、別れようと辛い態度をとるようになった。前まえからのことに併せて、さまざまな嫌味を含んだ言葉の暴力に苛まれる。

そのとき 「うつ」 が発症したのだろう。ある夏の日、朝早く父母の家に妹は突然タクシーで乗りつけたという。半月ほど居候が続いた。その間の伯父の行動は筆舌に尽くしがたい。

妹の不安定な精神状態の中で、母も神経に異状をきたしたらしい。何日か経ったある日、彼と彼の母が訪れた。その時別れることを決めた。

その後、環境を変えようと隣町のマンションで一人暮らしを始める。電車で2時間ほどの湖のほとりにある精神科へ通院することになる。

病状も少し落着いた頃だろう、時々母のところに来て話をするようになった。たまたまツアーを募っていた 「スペイン旅行」 に妹を誘った。ガウディのサクラダファミリアを見たかったのだという。

時ならぬ初めての母娘旅行が実現する。母の嬉しさは如何ばかりだったろう。だが、乗り継ぎのときなど意識もうろうの妹を支え移動するさまは、人目も気になり大変だったという。

眠剤を多用していたのかも知れなかったのだ。 <つづく>


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