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☆縺れた綾糸

縺れた綾糸 (4) 作 元川 芹香

幾日かして市役所に行き戸籍を取り寄せると、山村から田中へ養子に出されていた真実を知ることになる。その帰り道、何故か由紀子の足は山村の家に向いていた。

庭で草花の手入れをしていた静江の目に、玄関先の由紀子の姿が映った。一人で山村の家に来たのはこの時が初めてだった。「ゆきちゃん、どうしたの?」今にも泣きそうな由紀子を家に招き入れた。

節子が出してくれたココアを一口飲み、由紀子は「伯母ちゃん!私って本当は伯母ちゃん家の子供なの?」と声を詰まらせながら尋ねる。

静江は急なことで動揺はしたしたものの、養子縁組の際に『小さい頃から養子だということ、村山夫婦も両親だと知らせること』という約束をしたことを思い出した。

その約束を13年間反古にした弟夫妻が悪いと思いながら、自らの口で由紀子に話そうと決めた。「そうよ!あなたは伯母ちゃんが生んだのよ。今まで黙ってて、本当にごめんね!でもね…」

すると、話の途中で由紀子が「やっぱりね、なんかずっとずっと変な気がしていたの!。でも、今わかってさっぱりしたわ」と、急に強がった態度を見せた。

「ゆきちゃん、奈津実はあなたと姉妹なのよ。何かあったら、いつでも、うちに来ていいんだからね」いいながら静江は、おなかを痛めた子由紀子の手をとった。

由紀子は怪訝な顔してその手をふり払うと「いいの!私、田中の家に貰われて良かったわ。貧乏はまっぴらごめんだし、お金も欲しいから!」と、けなげにも精一杯の虚勢をはった。

静江には一瞬それが我が子の口から出た言葉だと信じられなかった。束の間、由紀子に対する罪悪感が払拭されたように思えたが、このあと絶ち切れない絆に翻弄することになる。 <つづく>

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