☆ゆきむら殺人事件
ゆきむら殺人事件 第六章 終結 (1) 作 元川 芹香
コンビニの前には、既に坂口の姿があった。「ごめんなさいね!仕事で疲れているのに付き合せちゃって」 山崎には、いつもの明るさが見受けられない。
「山崎さん、大丈夫ですか?警察にまかせますか?」 「いいえ。でも願うことなら私の勘違いであって欲しいわ!さぁ、行きましょうか」
二人は自転車をコンビニに置き、山崎が先を歩きはじめた。ゆきむらの前を通りすぎて、1分もかからない所で彼女の足が止まる。「確かここだって、堺さんが言ってたわ」
『田中』 と表札がかかった家の前だった。「まさか!」 坂口は山崎の顔を見た。山崎は玄関の一点を見据えてチャイムのボタンを押す。「どちら様ですか?」
インターホンから、田中道子ではない年老いた女性の声がした。「あのぅ 『ゆきむら』 の山崎と申します。道子さんは、ご在宅でしょうか?」
「ちょっと待ってくださいね。道子、道子、山崎さんっておっしゃる方がいらしたわよ」 「えっ山崎さんって、『ゆきむら』 の?なにかしら?」
インターホンの受話器が外されたままだ、家の中の会話がそのままスピーカーを通して外まで聞こえてくる。玄関からエプロン姿の田中が出て来た。
「山ちゃん、どうしたの?」 「ごめんなさい。お忙しい時間なのに、ちょっとお話したいことがあって」田中の視線は、山崎の後ろで呆然と立っている坂口に向けられた。
「彼はトダ警備の坂口さん。あの日、私と一緒に現場に居合わせた方です」 田中をじっと見つめ、どう話を切り出そうかとまだ、山崎は悩んでいた。 <つづく>
コンビニの前には、既に坂口の姿があった。「ごめんなさいね!仕事で疲れているのに付き合せちゃって」 山崎には、いつもの明るさが見受けられない。
「山崎さん、大丈夫ですか?警察にまかせますか?」 「いいえ。でも願うことなら私の勘違いであって欲しいわ!さぁ、行きましょうか」
二人は自転車をコンビニに置き、山崎が先を歩きはじめた。ゆきむらの前を通りすぎて、1分もかからない所で彼女の足が止まる。「確かここだって、堺さんが言ってたわ」
『田中』 と表札がかかった家の前だった。「まさか!」 坂口は山崎の顔を見た。山崎は玄関の一点を見据えてチャイムのボタンを押す。「どちら様ですか?」
インターホンから、田中道子ではない年老いた女性の声がした。「あのぅ 『ゆきむら』 の山崎と申します。道子さんは、ご在宅でしょうか?」
「ちょっと待ってくださいね。道子、道子、山崎さんっておっしゃる方がいらしたわよ」 「えっ山崎さんって、『ゆきむら』 の?なにかしら?」
インターホンの受話器が外されたままだ、家の中の会話がそのままスピーカーを通して外まで聞こえてくる。玄関からエプロン姿の田中が出て来た。
「山ちゃん、どうしたの?」 「ごめんなさい。お忙しい時間なのに、ちょっとお話したいことがあって」田中の視線は、山崎の後ろで呆然と立っている坂口に向けられた。
「彼はトダ警備の坂口さん。あの日、私と一緒に現場に居合わせた方です」 田中をじっと見つめ、どう話を切り出そうかとまだ、山崎は悩んでいた。 <つづく>
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