☆ゆきむら殺人事件
ゆきむら殺人事件 第四章 探偵山崎事件を探る (1) 作 元川 芹香
従食も摂らずに上がった山崎は向かいのコンビニで、サンドイッチとオレンジジュースを手にして、レジ待ちをしていると、入口付近で雑誌を読んでいるグリーンのポロシャツの青年に目がいった。
彼は、あの時の警備員だとすぐに解った。「坂口さん?」 レジを済ませた山崎は、思い切って声をかけてみた。「あっ、こんにちは!」 坂口は少し照れくさそうに雑誌を置いた。
「お仕事お休みなの。近くにお住まい?」 山崎が矢継ぎ早に問う。「ええ、今日は遅番で深夜勤務なんです。アパートもこの近くで、『ゆきむら』 は良く利用させてもらっています」
すがすがしい笑顔と、誠実そうな人柄が話し方で伺える。「それはありがとう!坂口さん、あれから警察に行った?」
あの事件のあと、誰とはなく話したかった。その欲求が、彼を捕らえたのかも知れない。現場を共にした坂口には、妙に親近感がわいてきたのである。
「いえ、行っていません。僕は部外者ですから。それこそ、山崎さんは大変だったんじゃないですか?」「ええ、そうね。少しだけ…」 坂口は自分の名前を覚えていてくれて嬉しかったのだろう。
「実は僕もあのあと、ずっと気になっていたんです」 筋肉が引き締まった太い腕を組みながら、坂口は考え込むポーズをとる。何やら話し込む二人を、店員は怪訝な顔でチラチラ見ている。
「坂口さん、ちょっと時間ある?良かったら隣で少し話さない」 と、お茶に誘う。「仕事は23時からなんで大丈夫です」 坂口も話し足りないと感じたのだろう、一緒にファミレスに向かった。
「いらっしゃいませ!お客様何名ですか?」 オープン間もないこの店は、9年目のゆきむら一之瀬店とは比べ物にならず、どこもかしこも綺麗に整っている。
キョロキョロ見回していた山崎は、おもむろに指で2名と示した。ゆきむらのランチ帯で働くパートの人達は、代わり映えのしない従食に飽きた時など、良くここを利用する。 <つづく>
従食も摂らずに上がった山崎は向かいのコンビニで、サンドイッチとオレンジジュースを手にして、レジ待ちをしていると、入口付近で雑誌を読んでいるグリーンのポロシャツの青年に目がいった。
彼は、あの時の警備員だとすぐに解った。「坂口さん?」 レジを済ませた山崎は、思い切って声をかけてみた。「あっ、こんにちは!」 坂口は少し照れくさそうに雑誌を置いた。
「お仕事お休みなの。近くにお住まい?」 山崎が矢継ぎ早に問う。「ええ、今日は遅番で深夜勤務なんです。アパートもこの近くで、『ゆきむら』 は良く利用させてもらっています」
すがすがしい笑顔と、誠実そうな人柄が話し方で伺える。「それはありがとう!坂口さん、あれから警察に行った?」
あの事件のあと、誰とはなく話したかった。その欲求が、彼を捕らえたのかも知れない。現場を共にした坂口には、妙に親近感がわいてきたのである。
「いえ、行っていません。僕は部外者ですから。それこそ、山崎さんは大変だったんじゃないですか?」「ええ、そうね。少しだけ…」 坂口は自分の名前を覚えていてくれて嬉しかったのだろう。
「実は僕もあのあと、ずっと気になっていたんです」 筋肉が引き締まった太い腕を組みながら、坂口は考え込むポーズをとる。何やら話し込む二人を、店員は怪訝な顔でチラチラ見ている。
「坂口さん、ちょっと時間ある?良かったら隣で少し話さない」 と、お茶に誘う。「仕事は23時からなんで大丈夫です」 坂口も話し足りないと感じたのだろう、一緒にファミレスに向かった。
「いらっしゃいませ!お客様何名ですか?」 オープン間もないこの店は、9年目のゆきむら一之瀬店とは比べ物にならず、どこもかしこも綺麗に整っている。
キョロキョロ見回していた山崎は、おもむろに指で2名と示した。ゆきむらのランチ帯で働くパートの人達は、代わり映えのしない従食に飽きた時など、良くここを利用する。 <つづく>
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