☆ 「モズの穴」
もずの穴(29) 元川 芹香
「最近亡くなられたって聞いていましたが、こんな不思議な巡り合わせでお会いできるなんて思ってもみませんでした。さぁ、あちらで、お茶でも召し上がってゆっくりしてってくださいな」
山猿は死んでいた。母さんと山猿が友達。ボクは今までお化けと会っていたのか?頭の中がごちゃごちゃしてきた。「あの~叔母さん、竜太さんどうして亡くなられたんですか?」
「あの青龍ヶ池で溺れちゃったの。あなたにかかっていた縄、そちらのお祖父さんに見せてもらったわ。竜太のお父さんは魚釣りが大好きで、よくあの池に竜太とフナ釣りに行ってたの」
餌を仕掛ける時と、支えている蔓の結び目がほどけると同じだった。叔母さんはお茶を入れながら静かに言った。「他に得意なこととかありましたか?」
なぜ、ボクの前に山猿が現れたのか手がかりのひも解く。「そうね。もず採りかな。小枝を一度、もずの穴に入れただけで一発でかかる…なんていつも名人ぶってたわ」
やっぱり、そうだったの。フジ子さんが大きく頷きながらボクにいう。「こちらのお宅を出たら、あれほど激しかった雨がぴたりとやんだのよ。そしたら、急にどこからか凄い数の蝉が飛んでくるじゃない。
ジージが 『もしかしたら龍神様の使いかもしれんな』、って車で後を追ったのよ。惇ちゃんの言う通り、竜太君は私たちを呼びに来てくれたのね」
「そのお話を聞いてもう腰が抜けそうなくらい驚きました。それで、またあの子の日記を引っ張り出したりして…。惇一君、読んであげて」 <続く>
「最近亡くなられたって聞いていましたが、こんな不思議な巡り合わせでお会いできるなんて思ってもみませんでした。さぁ、あちらで、お茶でも召し上がってゆっくりしてってくださいな」
山猿は死んでいた。母さんと山猿が友達。ボクは今までお化けと会っていたのか?頭の中がごちゃごちゃしてきた。「あの~叔母さん、竜太さんどうして亡くなられたんですか?」
「あの青龍ヶ池で溺れちゃったの。あなたにかかっていた縄、そちらのお祖父さんに見せてもらったわ。竜太のお父さんは魚釣りが大好きで、よくあの池に竜太とフナ釣りに行ってたの」
餌を仕掛ける時と、支えている蔓の結び目がほどけると同じだった。叔母さんはお茶を入れながら静かに言った。「他に得意なこととかありましたか?」
なぜ、ボクの前に山猿が現れたのか手がかりのひも解く。「そうね。もず採りかな。小枝を一度、もずの穴に入れただけで一発でかかる…なんていつも名人ぶってたわ」
やっぱり、そうだったの。フジ子さんが大きく頷きながらボクにいう。「こちらのお宅を出たら、あれほど激しかった雨がぴたりとやんだのよ。そしたら、急にどこからか凄い数の蝉が飛んでくるじゃない。
ジージが 『もしかしたら龍神様の使いかもしれんな』、って車で後を追ったのよ。惇ちゃんの言う通り、竜太君は私たちを呼びに来てくれたのね」
「そのお話を聞いてもう腰が抜けそうなくらい驚きました。それで、またあの子の日記を引っ張り出したりして…。惇一君、読んであげて」 <続く>
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