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☆「モズの穴」 ☆大相撲 -新十両小柳2勝、3日目は里山戦

もずの穴(15) 元川 芹香

昨日の温泉とは反対の山沿いの道を歩く。雪国の9月といっても秋にはまだほど遠く、蝉の鳴き声が余計に暑苦しくさせた。

夜中に雨が降ったのだろうか。緩やかにのぼる車道には、黒くくっきりとタイヤの跡がまだ残り、空は悲しくなるくらいどんよりとした雲が被っていた。

そのちょっとの隙間から差し込んだ光が葉っぱの雫を照らし、それは小さな虹色のビー玉のように輝いて見えた。ミーン、ミンミンミン。ミーン、ミンミンミン。

蝉かぁ…。ボクは昆虫とかあまり得意てではない。特に蝉。見た目がグロテスクすぎる。「うぇっ」 近くの木に止まっていた蝉が、ぼくにおしっこを引っかけながら飛び立った。だから嫌いなんだ。

人気など無かったはずなのに、後からパタパタと足音がする。「よっ、白チン!東京に帰らなかったのか?」 その声は、昨日の山猿だ。こういう手の子供は相手にすると図に乗ってくる。

取り合わないのが一番の得策だ。「おい、白チンてば。無視するなよ」 なんだか腹が立ってきた。振り向いて言ってやった。「白チン、白チンって。まるで、ぼくのチンチンが白いみたいじゃないか!」

「じゃあ、白いからだのデカチン!」 山猿は嬉しそうに笑いながら言う。なんだ、ぼくよりもずっと背が低いんだ。「うるさい、山猿!」 「誰が山猿だょ!」

「君がだよ。キーキーとうるさい山猿だ」 「オマエ、不登校で学校へ行かないんだろ?」 急にぼくの横を走りぬけ、道路脇の大きな木の切り株に山猿は飛び乗りながら因縁をつけてくる。

「君には関係ない」 ぼくは山猿を見てないふりをして通りすぎた。「やっぱりそうだ。それで母ちゃんの実家に逃げてきたんだ」 山猿はなおもぼくの後ろを追いかけてくる。 <続く>
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十両小柳、 昨日の取組結果と今日の対戦相手は…

2日目、小柳vs 佐田の富士は、押し出しで小柳が2勝(0敗)目をあげました。佐田の富士は0勝2敗、3日目小柳の対戦相手は14枚目里山(1勝1敗)です。

里山は、鹿児島県奄美市出身 尾上部屋所属 35歳。平成16年3月場所が初土俵。最高位は前頭12枚目、幕下と十両優勝が各1回あります。

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