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☆猫屋敷

猫屋敷(1) 作 元川 芹 香

― あの著名な作家が我輩と称する猫を主人公に小説を書いた。それに触発されたわ
  けでないが日頃、住と食の提供を願っている猫さまと、彼女らに係わりが深い平凡
  な家庭の人間模様を紹介する ―

私は蚤である。

人間って生き物は実におめでたい。何がめでたいって、そりゃ、この地球上で自分達ほど賢い者はいないと思っているからさ。まだ無数に点在する未知なる世界を知らない。

この私たちをただ呑気に飛ぶしか脳のない輩だと馬鹿にさえしていることだろう。まぁ、高慢なそいつらを相手に《のみこそこの世で一番……》なんて語ったところで所詮は 『目糞鼻糞論』 だ。

いまから私が出会ったちょとオカシナ人間家族と、バカな猫どものよもやま話をしてみよう。しばらくお付き合いを願いたい。

ここは、お酒とコシヒカリと、あの角栄サマで高名なとある県のほぼ真ん中の、ある町の古びた一軒家だ。

その家には、パパとママとお兄ちゃんと妹といったあまりに平凡過ぎてつまらない家族構成の人間が住んでいた。

パパはごくごく普通のサラリーマン。お兄ちゃんときたら、高校卒業したら一日も早くこの家から脱出したかったらしく東京の専門学校へと…。

妹のリカは一般的な褒め言葉でいえば天真爛漫だが、ただ明るいとしか言い様のないちょっとお気の毒な中学生。そして、なかなか良い味を出してくれているのがママだ。

このママは実質的な家の支配者であり、近所では評判のすぐれもので通っている。それと、もう一人、いや、もう一匹忘れてならないのは、『猫屋敷』 の主役、雌猫 「きん子」である。<つづく>
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お正月の連載、童話「マリーちゃんのしっぽ」も終了しました。今日から火曜日は、しばらく 『猫屋敷』 を連載します。ご愛読を!


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