☆縺れた綾糸
strong>縺れた綾糸 (13) 作 元川 芹香
どうして自分が社長室に呼び出されたかわからない。俊彦は緊張していた。誠治は社長用の椅子から、応接椅子に移りながら俊彦と向かい合った。
「俊彦君、君の営業力は大したものだ。今までろくな社員がいなかったが、君には一目置いている」 「これから、由紀子の片腕となって助けてやってはくれないか?」
「えっ?」 俊彦は、今一つ意味が判らなかった。「君は由紀子をどう思うかねぇ?」 誠治の頭の中は、この男を利用する事しかなかった。
「そんな、お嬢さんは私なんかにはもったいないくらいで…」 やっと理解で来た俊彦は、またとないチャンスに震えそうになる自分を押さえた。
「おお、そうか!明日にでも由紀子と一緒に飯でも食べに行こう」 と、由紀子の知らない所で勝手に進んでいった。
某有名私立大学の経済学部を卒業した俊彦、誠治の会社に入社した動悸など何もなかった。在学中バイトと遊びに明けくれて就職活動に乗り遅れてしまい、それすら面倒くさくなっていた。
目に入ったのが、従業員100名と中規模だが、年商は1億をあげている誠治の経営する会社の求人広告だった。
俊彦にしては偶然に得た就職の機会。誠治は自分にはない学歴に目を付けたのだろう。以後お気に入りの社員となっていった。
由紀子は当初、俊彦を毛嫌いしたが、紳士的な態度や今までなかったタイプに新鮮さを感じ、だんだんと魅かれていくのだった。しかし、誠治がほくそ笑む時期もそう長くは続かなかった。
俊彦は営業で忙しく、久々のデートも仕事の疲れと誠治から受けるストレスの為、結局ケンカして帰るハメになる。それでも俊彦は、増田の財産をこの手に握れる可能性を捨てる訳がない。 <つづく>
どうして自分が社長室に呼び出されたかわからない。俊彦は緊張していた。誠治は社長用の椅子から、応接椅子に移りながら俊彦と向かい合った。
「俊彦君、君の営業力は大したものだ。今までろくな社員がいなかったが、君には一目置いている」 「これから、由紀子の片腕となって助けてやってはくれないか?」
「えっ?」 俊彦は、今一つ意味が判らなかった。「君は由紀子をどう思うかねぇ?」 誠治の頭の中は、この男を利用する事しかなかった。
「そんな、お嬢さんは私なんかにはもったいないくらいで…」 やっと理解で来た俊彦は、またとないチャンスに震えそうになる自分を押さえた。
「おお、そうか!明日にでも由紀子と一緒に飯でも食べに行こう」 と、由紀子の知らない所で勝手に進んでいった。
某有名私立大学の経済学部を卒業した俊彦、誠治の会社に入社した動悸など何もなかった。在学中バイトと遊びに明けくれて就職活動に乗り遅れてしまい、それすら面倒くさくなっていた。
目に入ったのが、従業員100名と中規模だが、年商は1億をあげている誠治の経営する会社の求人広告だった。
俊彦にしては偶然に得た就職の機会。誠治は自分にはない学歴に目を付けたのだろう。以後お気に入りの社員となっていった。
由紀子は当初、俊彦を毛嫌いしたが、紳士的な態度や今までなかったタイプに新鮮さを感じ、だんだんと魅かれていくのだった。しかし、誠治がほくそ笑む時期もそう長くは続かなかった。
俊彦は営業で忙しく、久々のデートも仕事の疲れと誠治から受けるストレスの為、結局ケンカして帰るハメになる。それでも俊彦は、増田の財産をこの手に握れる可能性を捨てる訳がない。 <つづく>
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