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☆ゆきむら殺人事件

ゆきむら殺人事件 第五章 謎の裏側 (1) 作 元川 芹香

坂口と別れた後、近くのスーパーで夕食の買い物を済ませ帰宅した。家の前に見馴れない車が一台が止まっている。中で山崎の帰りを待っていた刑事が、彼女の姿を見つけ走り寄って来た。

「こんばんはぁ。一之瀬警察署鈴木ですぅ」妙なイントネーションで、頭頂部から後ろ頭にかけて禿げた中年刑事が挨拶を寄越した。

「ああ、取り調べの時の刑事さんでしたね。今日はまた、なにか?」 山崎は何とも聞きづらい話し方が印象的だったのと、もっとも外見が苦手なタイプだけによく覚えていた。

「忙しいところすみませんがぁ、もう一度ぉお尋ねしたいことがありましてぇ」 汗だらけの顔をハンカチで拭いながら、山崎を見据えたまま頭を少し下げた。

「はぁ、何かしらぁ?立ち話もなんですから、中へどうぞ。散らかっていますけど」 と、玄関へ招き入れるが、鈴木は丁重に断りながらまた、額の汗を押さえた。

「いいえー、ここで結構ですぅ。お気遣いなくぅ。お伺いしたいことというのはぁ、事件当日のことをもう一度。朝の2時から2時半までの間、山崎さんはぁ、どちらにいらっしゃいましたかぁ?」

「はぁ、私のアリバイですか?それなら、警察で申し上げた通りですわ。その時間はここの2階でグッスリ寝ていました。主人とは別部屋なんで証明しろと言われても…」

「いやぁ、すいません。山崎さんは、キーを持っておられたのでぇ確認させていただいただけこってすぅ。形式上ですからぁ。今日、佐々木さんの拘留がとけました…」

事件を振り出から洗い直すことになったという。強気に出た山崎をなだめるように「ああ、やっぱり!佐々木さん、やっと無実が証明できたんだ」

「やっぱりぃ。と、おっしゃいますとぉ?」 すかさず老練な鈴木は聞き返してくる。山崎は『しまった!』 と思いながら、渋々アンパンの話を打ち明けた。 <つづく>

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