☆ 「モズの穴」
もずの穴(30) 元川 芹香
― 山猿の日記 ―
≪八月二十五日≫
明日は龍神祭りだ。ラジオ体操の帰り『青龍ヶ池に龍はいるか?』 という話になった。オレは『いない』と思ったけど黙っていた。さっちゃんは 『いるとステキ!』 と言った。
何がステキだ!バカにされたように思えたので、『大蛇なら見たことがあるから、それを龍と間違えたんじゃないか』とつい言ってしまった。今度は、『嘘つきだ』と言われた。
嘘ではない。父ちゃんと釣りにいった時、一メートル半くらいの青大将がヤブの中から出てきてびっくりことがある。『そんなでかい青大将がいるわけない』と、嘘つきが連発した。
≪八月二十六日≫
『おい、嘘つき。龍の写真はまだか?』と、雑魚どもがうるさく付きまとう。さっちゃんは『かまうことない』と言うけど、オレは嘘つきではない。
大青大将を見たのは本当だ。だから、その写真を絶対に撮って見せつけやる。明日から撮影開始だ。さっちゃんもついてくるというけど断ろう。
≪八月二十七日≫
今日は大収穫だ。あの青大将の抜け殻を見つけた。随分と大きい抜け殻だ。やっぱり、ヤツはこの池の主に違いない。
強引についてきたさっちゃんは、気持ち悪いって言っていたけど、サイフに入れとくとお金が貯まるらしい。サイフが抜け殻でパンパンになった。これで、将来オレは大富豪だ。
≪八月二十八日≫
今日はさっちゃんと喧嘩した。『龍神なんていなくていいから、もうこの池に来るのは止めよう』とさっちゃんは言い出した。
オレが『勝手について来ているだけだろ』と言ったら、怒って帰ってしまった。ちょうどいい。蛇が相手じゃ危ないし、別にさっちゃんの為に写真を撮るわけでもない。
明日は絶対に見つけて終わりにしてやる。 <続く>
― 山猿の日記 ―
≪八月二十五日≫
明日は龍神祭りだ。ラジオ体操の帰り『青龍ヶ池に龍はいるか?』 という話になった。オレは『いない』と思ったけど黙っていた。さっちゃんは 『いるとステキ!』 と言った。
何がステキだ!バカにされたように思えたので、『大蛇なら見たことがあるから、それを龍と間違えたんじゃないか』とつい言ってしまった。今度は、『嘘つきだ』と言われた。
嘘ではない。父ちゃんと釣りにいった時、一メートル半くらいの青大将がヤブの中から出てきてびっくりことがある。『そんなでかい青大将がいるわけない』と、嘘つきが連発した。
≪八月二十六日≫
『おい、嘘つき。龍の写真はまだか?』と、雑魚どもがうるさく付きまとう。さっちゃんは『かまうことない』と言うけど、オレは嘘つきではない。
大青大将を見たのは本当だ。だから、その写真を絶対に撮って見せつけやる。明日から撮影開始だ。さっちゃんもついてくるというけど断ろう。
≪八月二十七日≫
今日は大収穫だ。あの青大将の抜け殻を見つけた。随分と大きい抜け殻だ。やっぱり、ヤツはこの池の主に違いない。
強引についてきたさっちゃんは、気持ち悪いって言っていたけど、サイフに入れとくとお金が貯まるらしい。サイフが抜け殻でパンパンになった。これで、将来オレは大富豪だ。
≪八月二十八日≫
今日はさっちゃんと喧嘩した。『龍神なんていなくていいから、もうこの池に来るのは止めよう』とさっちゃんは言い出した。
オレが『勝手について来ているだけだろ』と言ったら、怒って帰ってしまった。ちょうどいい。蛇が相手じゃ危ないし、別にさっちゃんの為に写真を撮るわけでもない。
明日は絶対に見つけて終わりにしてやる。 <続く>
タグ:モズの穴