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☆エッセイ 「里山を歩く」

里山を歩く (一) 芹香ママ

明け方近くに目が覚めた、四時を過ぎている。「朝歩き」 にはまだ早い。ラジオのスイッチ入れると。いつも耳にする女性ナアに続いて、長岡市雪国植物園の大原園長さんの声が飛び込んできた。

二十五年前に市が買い上げた里山。その管理と生態系の保護を、企業家が中心となってボランティアで運営していると話されていた。聞いているうちに、ぜひ行ってみたくなった。

連休も五月に入って二日、つれあいに頼んで目的の地へ向かった。開園して間もない平屋建て事務所の受付で入園料を支払い入場する。ボランテアの男性ガイドが私たちを案内してくれた。

遠い日、棚田へと続くのだったろうと思わせる里道の際から、白い花が目に飛び込んできた 「ひとり静」 だ。吉野の山で義経と別れた薄幸の静御前。幻想の美がこの花の白さに例えて名付けられた。

ピンク色で花火のような猩々袴。紫や水色の雪割り草が次へと続く。

後ろから 「ご一緒させていただいても、いいですか」 と、声がかかる。振り返ると子供を二人連れた三十代くらいのご夫婦、私たちとの六名のパーティーで歩くことになった。

山の斜面に沿って進む。グラウンド二個分はあろうか、広い原っぱには大小十個ほどの沼が点在して、東屋やデッキへと木道が延びている。 <次へ>


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