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☆エッセイ 「天使魚」

天使魚 (二) 芹香ママ

本 「天使の世界」 によると、天使の階級と数は多く複雑きわまりないそうだ。

私の見た受胎告知の大天使は女で、慈悲・受胎・啓示のガブリエルである。剣を持ちドラゴン退治で知られる大天使ミカエルが一般的に有名だ、鷲か鷹の様な翼を持つ男の天使である。

お盆休みに東京から里帰りした娘が、と、言っても四十代半ばで、今、就活真っ最中の娘の母親である。彼女が置いてあった 「天使の世界」 を見付けて、

「え丶っ!私もこの前、図書館で借りたわよ」 って、言ったのには驚いた。親娘とはいえ、こんな所まで一緒かと絶句した。

数年前の水害の折、濁流とともに流れ去った熱帯魚に変えて、2センチ位の小さな白い体に赤い斑を肩にまとった金魚を飼った。今では10センチほどに成長して、水槽の中を窮屈そうに泳いでいる。

長い白い尾と二つの背ビレをゆらゆらさせて泳ぐさまを、寝た這って見上げると、不思議と天使に見えなくはない。

例年にない極暑の昼下がり暇をもてあまし、クーラーの効いた部屋で一とき 〈天使の夢〉 を楽しんでいた。 <終わり>
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エッセイ 「天使魚」 は終わりました。次週火曜日は続いて、芹香ママさんの 「里山を歩く」 を掲載します。

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