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☆エッセイ 「八幡様と私」

八幡様と私 (二) 芹香ママ

五之町の大通りから八幡小路は、人波で前に進むのもままならない雑踏。そのなか一軒一軒夜店を見て廻るのは、子供にとってわくわくする楽しみだった。

お面が一杯飾られた店は、今ならアニメの主人公だろうが、その頃はどんなお面だったか思い出せない。色と型が色々で、笛や飛行機やらと私のお気に入りの薄荷パイプの店。

金魚すくい。飴を器用に操って作る飴細工屋。ビニールで丸く囲った金筒の中のザラメが、白か桃色の綿のように上がるのを割り箸の長いので器用に巻きつける甘い匂いの綿菓子屋などなど。

ポッポ焼きやリンゴ飴チョコレート・バナナはそれからずっと後に出て来たように思うが…。

テレビの番組 「BS夢紀行」 で、ドイツブルーメンのクリスマス・マーケット特集、イルミネーションも華やかな夜の街の風景が映し出される中、水色の綿菓子を手にした子供達の姿があった。

外国にも綿菓子があり、それも水色だとは新しい発見をした気分である。私にとってお祭りは、子供の頃の古い極彩色の世界、大人になってから懐かしい思い出として胸の中にある。

この日の散策は、私を遠い昔に連れていってくれていた。その社殿も新築され、今は薄暗い面影さえうかがえない。 <終わり>
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エッセイ 「八幡様と私」 は終わりました。次週火曜日は日続き、芹香ママさんの 「天使魚」 を掲載します。

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