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☆エッセイ 「八幡様と私」

八幡様と私 (一) 芹香ママ

初雪を見た翌日、エッセイ教室のメンバー十人で、三条市中央公民館から歩いて十分程の八幡神社まで散策をした。

八幡さまは数年前、友人と桜の咲いた頃立寄った時からで、本殿の裏手にある金山神社から広い境内を見渡すと、半世紀以上も前の私が走馬灯のように続々と浮かんで来た。

それは小学生の頃来た、春の八幡神社大祭の状景だ。黄色い裸電球が下がる境内には、見世物小屋のまがまがしい絵天幕の高い台座の女の口上。

「あ~ら恐ろしや!何の因果が子にむくい、生まれ落ちたるこの姿!入ってその目でご覧あれ!」なんとも恐ろしく気味悪い。

私は「ねえ!入ろうよ」と誘う友達の手を引っ張って、その恐ろしい場所から離れた。男の興味が集中する射的屋、時代物の里見八犬伝や鬼子母神とかの芝居を見せる幻灯屋。

ろくろ首や黒い髪を腰まで流し白い着物姿の女のゆうれい屋敷は、竹やぶと破れ提灯や、火の玉が飛び交い精一杯恐ろしさを演出して人を呼び込んでいた。<次へ>

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