☆ 「モズの穴」
もずの穴(31) 元川 芹香
「あの子が死んだのは八月の二十九日、あと二日もしたら学校だったのにね。あの日も昨日みたいな天気だったの。なんで、そんな天気の日に…。
うちの人、龍神を祀る職にありながら金針をあの池に垂らしたせいで竜太が死んだんだと、あれ以来いっさい釣竿持たなくなったんです」
青龍ヶ池には、なんでかわからないが誘い込まれてしまう。ぼくは山猿の気持ちがよくわかるし、山猿もボクの気持ちがわかっていたからついてきたんだと思う。
「叔母さん、ここには挟まっている蛇の抜け殻少しもらってもいいですか?」 「いいわよ。そんなボロボロなのでよかったら」 「ありがとうござい、ま、す…」
××××××××××
「おい惇一。顔が真っ赤だぞ!大丈夫か?」 父さんがボクの顔を覗き込んでいる。「 だいじょう…」 きっと、あの後ぼくは倒れてしまったんだろう。
お尻がチクリと痛い。注射かな。看護師さんの声が聞こえた。「少し眠くなるお薬入れたからね」 「ふあ~い…」 ふわふわと綿菓子みたいな雲の上。
すごく気持ちがいいよ。これは夢の中・・・? <続く>
「あの子が死んだのは八月の二十九日、あと二日もしたら学校だったのにね。あの日も昨日みたいな天気だったの。なんで、そんな天気の日に…。
うちの人、龍神を祀る職にありながら金針をあの池に垂らしたせいで竜太が死んだんだと、あれ以来いっさい釣竿持たなくなったんです」
青龍ヶ池には、なんでかわからないが誘い込まれてしまう。ぼくは山猿の気持ちがよくわかるし、山猿もボクの気持ちがわかっていたからついてきたんだと思う。
「叔母さん、ここには挟まっている蛇の抜け殻少しもらってもいいですか?」 「いいわよ。そんなボロボロなのでよかったら」 「ありがとうござい、ま、す…」
××××××××××
「おい惇一。顔が真っ赤だぞ!大丈夫か?」 父さんがボクの顔を覗き込んでいる。「 だいじょう…」 きっと、あの後ぼくは倒れてしまったんだろう。
お尻がチクリと痛い。注射かな。看護師さんの声が聞こえた。「少し眠くなるお薬入れたからね」 「ふあ~い…」 ふわふわと綿菓子みたいな雲の上。
すごく気持ちがいいよ。これは夢の中・・・? <続く>
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