☆いもうと

いもうと　（5）　作 　元川　芹香

しばらく時が経つうち、少しずつ会社の仕事に復帰できるようになった。伯父は会社で若くて一番有能な男を妹の婿にとあてがう。妹もまんざらでもなかったようで、一石二鳥と思ったのかもしれない。

しかし、そんな計算づくの恋愛など、永く続くはずもなく…。

やがて男の異性関係や素行の噂などを耳にするようになる。更に、男の欲深さをも知るに至っては、愛も仕事も続けられなくなり、婚約を破棄してしまう。

何もかも伯父の独裁が起因すると妹はまたも責めたてた。結局、現実から逃避するかのように、仕事のスキルアップを口実に、映像関係の学校へ進学のため再び上京する。

一体、どこから歯車がくるったのだろう。親もとからの仕送りと、あてがってもらったマンションで再出発を夢みる。しかし、運命は残酷なものである。この時から｢うつ｣という病魔が再び襲いはじめたのだ。

映像の勉強をしつつ、毎月会社から送金されている給金のこともあって、時折実家にもどり新築家屋の内装やインテリヤの仕事をこなした。

そんな中、何時からか伯父の実子が跡継ぎとして、経営する別会社の店舗で働いていることを知る。追い討ちをかける様にうつ病は進行した。

『跡目を継ぐ為、あの父に絶えてきたはずなのに！』 妹は、一気に目標を失ってしまう。行き先もさだまらないまま、夜の仕事につき、やりきれなさを酒で紛らわせる日々が続く。 <つづく>

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