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☆いもうと

いもうと (2) 作  元川 芹香

幼少時の妹は、本当に愛くるしく、回りの誰からも可愛がられた。いつも大勢の大人に囲まれて、外国製の玩具やぬいぐるみ、着せ替え人形のに沢山の洋服の中で何不自由なく育った。

妹の所へ遊び行くたびに 『何故私を養女にしなかったの?』 とよく羨んだものだった。今にして思えば、大人達の注目を浴び愛情と物にあふれた環境の中で育ったことも、少なからず現在の妹に影響しているのだろう。

中学生の頃だったろうか、伯父に妹より10才下の実子がいたのが発覚した。男児である。彼女は同じ頃、出生と遺伝子について、理科の授業がキッカケで知った。

一転して、とてつもなく辛い現実を、未熟な少女時代に突き付けられてしまうのだ。それでも妹は私達には 「今の家に貰われてきて良かった!」 と、けなげにも精一杯の虚勢をはって見せた。

その言葉で、罪悪感が払拭されたやに思われたのも束の間、また絶ち切れない絆に苦悩する母のうしろ姿を見ることになる。

伯父の別宅との二重生活は、いつから始まったのだろうか?毎週土日は新潟に通う。寂しさからか、伯母はその頃から毎晩のように酒に溺れ、躁鬱状態を繰り返した。

伯父や相手の家族の愚痴を聞かされる妹にとって、一番大切な人格形成の時を最悪な形で過ごしてしまう。張りぼての家庭はではあったが、さざ波をたてながらも、どうにか時は過ぎて行った。 <つづく>



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